一方、(1)のDMTという治療は、今ある症状を改善するための治療ではなく、MSの再発を防いで進行を抑えるなど、患者さんの将来のことを考えて行われる治療です。したがって、副作用があって続けることが難しいなどの事情がなければ、基本的にはDMTのお薬を止めることは考えないほうが良いでしょう。脳を含む中枢神経系を長期にわたって良い状態に保つためには、DMTのお薬をきちんと続けることが大切です。「今、調子が良いから、薬はもう止めてもいいや…」と考えるのではなく、“長期的な視点”をもって治療に取り組み、お薬を続けていただきたいと思います。
私のこれまでの診療経験からお話ししますと、お薬をきちんと続けられない患者さんには、「ご自身がMSである」という事実を受け入れられていない方が多い印象があります。「自分はMSのはずがない!だから薬は飲みたくない。必要もない!」ということで、治療を拒まれる方も一部いらっしゃいます。しかし、逆にいえば、病気であることをきちんと受け入れることができれば、治療を続けられる方が多い印象もあります。
まずは勇気をもって、ご自身の病気と向き合うことが大切です。それができれば、おのずと前向きな気持ちで治療に取り組めるのではないかと思います。