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多発性硬化症の情報サイト

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多発性硬化症(MS)で
声が小さくなってしまうのだけど、
リハビリはできる?

多発性硬化症(MS)では、話していると声が大きく出せない(小声)、イントネーションが思うようにつかない、などの言語症状がみられることがあります。これらは「呼吸発声機能」の低下が原因と考えられますので、「呼吸発声訓練」をしっかり行い、呼吸発声機能の維持・向上を目指しましょう。

呼吸発声訓練の3つのプログラム

  • 呼吸体操(胸式呼吸、腹式呼吸)[5~6分程度]
  • 発声持続訓練[1分程度]
  • イントネーション訓練[3分程度]

動画を見ながらリハビリ

呼吸発声訓練を動画に合わせて行いましょう!
【動画再生時間:19分6秒】

2018年10月作成

イラストを見ながらリハビリ

呼吸体操(胸式呼吸、腹式呼吸)

呼吸体操を項目別に分け、わかりやすいイラストとともに解説しています。

1. 胸を縦に伸ばす運動〔5回〕

棒をご用意ください(両手を組みながら行っても可)

1 イスに座って棒を両手で持ち、まずは鼻から息をゆっくり吸いながら、4秒かけて両手を上げていきます

胸を縦に伸ばす運動①

棒を両手で持つ

胸を縦に伸ばす運動②

円を描くように上げる

胸を縦に伸ばす運動③

2 今度は口から“フー”と息をゆっくり吐きながら、4秒かけて両手を下げ、最初の位置に戻します。

胸を縦に伸ばす運動④
胸を縦に伸ばす運動⑤

下げる

胸を縦に伸ばす運動⑥

最初の位置に戻す

12で1回とし、これを5回行いましょう。

※:痛みを伴わない無理のない範囲で

「4秒かけて」とありますが、大体の目安です。自分のペースでゆっくりと行ってください。

2. 体を左右にねじる運動〔3回〕

棒をご用意ください(両手を組みながら行っても可)

1 イスに座って棒を両手で持ち、胸の高さまで水平に上げ、まずは鼻から息をゆっくり吸いながら、4秒かけて体を右側にねじります。そして口から“フー”と息をゆっくり吐きながら、4秒かけて体を正面に戻します。

体を左右にねじる運動①

右側にねじる

体を左右にねじる運動②

体を正面に戻す

2 今度は鼻から息を吸いながら、4秒かけて体を左側にねじります。そして、口から息を吐きながら、4秒かけて体を正面に戻します。

体を左右にねじる運動③

左側にねじる

体を左右にねじる運動④

体を正面に戻す

12で1回とし、これを3回行いましょう。

※:痛みを伴わない無理のない範囲で

「4秒かけて」とありますが、大体の目安です。自分のペースでゆっくりと行ってください。

3. 胸を横に伸ばす運動〔5回〕

1 イスに座って手を軽く握り、両腕を直角にまげて、顔の前に持ってきます。

胸を横に伸ばす運動①

両腕を直角に曲げる

2 まずは鼻から息をゆっくり吸いながら、4秒かけて両腕を左右に広げ、胸を横に伸ばします。

胸を横に伸ばす運動②

両腕を左右に広げる

3 今度は口から“フー”と息を吐きながら、4秒かけて両腕を最初の位置に戻します。

胸を横に伸ばす運動③

最初の位置に戻す

13で1回とし、これを5回行いましょう。

※:痛みを伴わない無理のない範囲で

「4秒かけて」とありますが、大体の目安です。自分のペースでゆっくりと行ってください。

4. 体の脇を伸ばす運動〔3回〕

【ポイント】

  • バランスを崩さないように、足は肩幅くらいに広げて座ること!
  • 体を倒すときは、片方の手はイスの横につくこと!

1 イスに座ってまずは左手を頭上に上げ、鼻から息をゆっくり吸いながら、体を右側に4秒かけて倒します。そして、口から“フー”と息をゆっくり吐きながら、4秒かけて体を最初の位置に戻します。

体の脇を伸ばす運動①

左手を上げて体を右側に倒す

体の脇を伸ばす運動②

最初の位置に戻す

2 今度は右手を上げ、同様に鼻から息を吸いながら、4秒かけて体を左側に倒します。そして、口から息を吐きながら、4秒かけて最初の位置に戻します。

体の脇を伸ばす運動③

右手を上げて体を左側に倒す

体の脇を伸ばす運動④

最初の位置に戻す

12で1回とし、これを3回行いましょう。

※:痛みを伴わない無理のない範囲で

「4秒かけて」とありますが、大体の目安です。自分のペースでゆっくりと行ってください。

5. 体全体を伸ばす運動〔5回〕

1 イスに座り、肩の力を抜いて両腕を下ろします。

体全体を伸ばす運動①

2 まずは鼻から息をゆっくり吸いながら、4秒かけて両腕を横から円を描くように上げていきます。しっかりと手を真上まで上げていきます

体全体を伸ばす運動②

円を描くように上げる

3 今度は口から“フー”と息をゆっくり吐きながら、4秒かけて両腕をゆっくりと下げ、最初の位置に戻します。

体全体を伸ばす運動③

最初の位置に戻す

13で1回とし、これを5回行いましょう。

※:痛みを伴わない無理のない範囲で

「4秒かけて」とありますが、大体の目安です。自分のペースでゆっくりと行ってください。

6. 背中を伸ばす運動〔5回〕

1 イスに座り、胸の前で両手を組みます。

背中を伸ばす運動①

胸の前で両手を組む

2 両手を組んだまま、まずは口から“フー”と息をゆっくり吐きながら、4秒かけて頭を前に倒し、組んだ手を前方に押し出します。

背中を伸ばす運動②

組んだ手を前方に、背中を丸めて背中の筋肉を伸ばす

3 今度は鼻から息を吸いながら、4秒かけて組んだ手と体を最初の位置に戻します。

背中を伸ばす運動③

最初の位置に戻す

13で1回とし、これを5回行いましょう。

「4秒かけて」とありますが、大体の目安です。自分のペースでゆっくりと行ってください。

7. 腹式呼吸〔5回〕

【ポイント】

  • 口から息を吐くときは、姿勢は真っ直ぐにして、前かがみにならないように注意しよう!

1 イスに座ってお腹に両手を当て、まずは口から“フー”と息をゆっくり吐きながら、お腹をへこませていきます。

腹式呼吸①

お腹をへこませる

2 今度は、鼻から息をゆっくり吸いながら、お腹を大きく膨らませていきます。

腹式呼吸②

お腹を膨らませる

12で1回とし、これを5回行いましょう。

呼吸体操に関するQ&Aをご紹介いたします。

【Q】「呼吸体操」を行うと、どうなるの?

【A】

  • 呼吸体操は、胸郭の柔軟性を高め胸郭可動域を広げることで「胸式呼吸」を鍛え、また、横隔膜と腹筋群の動きを向上させることで「腹式呼吸」を鍛えることができます。
  • 呼吸体操はイスに深く座って、新聞紙などをビニールテープでぐるぐる巻きにして作った「棒」などを持ちながら行いましょう。(棒がない場合は両手を組みながら行っても可)

棒を使う場合

「呼吸体操」を行うと、どうなるの?①

棒などを持つ

棒がない場合

「呼吸体操」を行うと、どうなるの?②

両手を組む

【Q】呼吸体操時の「呼吸」って、どうすればいいの?

【A】

  • 息を「吸う」ときは、「鼻」からゆっくり吸いましょう。
  • 息を「吐く」ときは、「口」から“フー”とゆっくり吐きましょう。

鼻から「吸う」

呼吸体操時の「呼吸」って、どうすればいいの?①

口から「吐く」

呼吸体操時の「呼吸」って、どうすればいいの?②

これらの訓練は自分のペースで、回数や時間にこだわらず、
疲れを感じたら無理をせずに終了してください!

発声持続訓練

発声持続訓練をわかりやすいイラストとともに解説しています。

「アー」と大きく発声〔10秒以上×3回〕

【ポイント】

  • 日常会話で出している声よりも大きめの声で発声しよう!ただし、怒鳴るような大きな声は、声帯を痛めるのでNG!

姿勢をまっすぐにして、お腹に両手を当てます。そして、お腹が膨らむように鼻から息を深く吸い込んでから、声帯に無理がかからない程度の大きめの声で「アー」とできるだけ長く発声します(目標は10秒以上)。これを3回行いましょう。

「アー」と大きく発声①

お腹を膨らませる

「アー」と大きく発声②

発声持続訓練に関するQ&Aをご紹介いたします。

【Q】「発声持続訓練」を行うと、どうなるの?

【A】発声持続訓練を行うことで、声帯運動を促し、声を大きくかつ長く出せるようになることが期待されます。

【Q】発声の持続時間って、どれくらい?

【A】発声の持続時間は、成人で10秒以上(健康成人 男性:25秒前後、女性:15秒前後)が正常範囲で、それ未満だと日常会話で不自由さを感じることがあります。

これらの訓練は自分のペースで、回数や時間にこだわらず、
疲れを感じたら無理をせずに終了してください!

イントネーション訓練

イントネーション訓練をわかりやすいイラストとともに解説しています。

強調箇所を大きな声で強くゆっくりと音読〔20個×2パターン〕

文章を文節ごとに区切り、一部分の文節のみを大きな声で強く音読します。例えば、下記のことわざを音読する場合、二重下線の引いてある強調箇所を大きな声で強く、ゆっくりと音読します。

強調箇所を大きな声で強くゆっくりと音読①

下記の20個のことわざを1文ずつ音読していきましょう。特に、二重下線の引いてある強調箇所については、大きな声で強く、ゆっくりと音読してみましょう。強調箇所を変えて2パターンずつ用意してあります。(ことわざの他に、新聞や本などの短い文章を使用して行うのも良いでしょう。)

ことわざ20個

イントネーション訓練に関するQ&Aをご紹介いたします。

【Q】「イントネーション訓練」を行うと、どうなるの?

【A】多発性硬化症でみられやすい「言語症状」として、イントネーションが思うようにつかない、話していると声が大きく出ない、などの症状がみられることがあります。
このような言語症状に対して、イントネーション訓練を行うことで、声が大きく、かつ意図したところを強調できるような発話が期待されます。

これらの訓練は自分のペースで、回数や時間にこだわらず、
疲れを感じたら無理をせずに終了してください!

もっと、MSについて聞いてみよう。

【監修】
医療法人セレス さっぽろ神経内科病院
言語聴覚士 堀田 弘伸 先生
理学療法士 吉田 良 先生

総監修
医療法人セレス さっぽろ神経内科病院 理事長 深澤俊行 先生

多発性硬化症や視神経脊髄炎などの神経難病に対する診療・研究を行う神経内科医。2007年に医療法人セレスを設立し、現在は理事長を務める。患者さんが社会や地域でよりよい生活を送ることを重視した診療を目指している。
【著書】やさしい多発性硬化症の自己管理/医薬ジャーナル社/2016(編)

メディカルノート:深澤俊行先生