多発性硬化症(MS)の経過
多発性硬化症(MS)を治療しないままでいると、どのように進行するの?
多発性硬化症(MS)を発症した後にどのような経過をたどるかは人それぞれですが、治療をしないと、多くの場合で症状が急に出たり(再発)、治まったり(寛解) を繰り返す「再発寛解型」(RRMS)の経過をたどります。
MSの再発には、「臨床的な再発」と「画像的な再発」の2つのタイプがあります。「臨床的な再発」の場合、突発的に出現した新たな症状(痛みやしびれ、歩きにくい、ふらつき、視力低下など)が24時間以上持続して認められ、発熱や感染症を伴わないものとされています[1]。「画像的な再発」はMRIの画像で新たな病巣が見つかることを指します[2]。
また、再発を繰り返していると、次第に再発がない時にも、体の機能の障害が徐々に進行していく「二次性進行型」(SPMS)の経過をたどるようになることが少なくありません。
MSの自然経過[イメージ図]
[Giovannoni G et al.:Mult Scler Relat Disord 9 Suppl 1:S5-S48, 2016より改変]
多発性硬化症(MS)の3つのタイプ[イメージ図]
MSは大きく、患者さんの多くを占める「再発寛解型」と、わが国では5%前後の[3]「一次性進行型」に分けられます。特に「再発寛解型」は、時間の経過とともに、「二次性進行型」に移行する可能性があると考えられています。
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日本神経学会 監修 『多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017』 医学書院 p114,116 2017年
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中島一郎:日本内科学会雑誌 107(8):1470-1476, 2018
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日本神経学会 監修 『多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017』医学書院 p116-118 2017年
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Bsteh G et al.:PLoS One 11(7):e0158978, 2016