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多発性硬化症の情報サイト

Q.最近、以前よりも多発性硬化症(MS)の症状が「進行」しているように感じるのですが、私はどうすればよいでしょうか?

A.心配な症状がある時は、1人で抱え込まずに、主治医に相談してください。
多発性硬化症(MS)の進行の指標としてわかりやすいのは、「歩行障害」です。
「隠れた進行」に早く気付けるよう、自宅から駅までの具体的な歩行時間などを、定期的に記録しておくことも有用です。

多発性硬化症(MS)の「進行」とは、再発がなくても症状が1年以上にわたってじわじわと変化している状態を指します[1]。しかし、「どの症状が」「どの程度変化したら」進行なのかなど、はっきりした基準は今のところまだありません[1]

「進行」の定義は、まだまだ専門家の間でも意見が分かれているほどですので、今、患者さんに出現している症状が一時的なものなのか、再発なのか、はたまた進行なのかを、患者さんご自身が判断することは非常に難しいかと思います。あれこれと思い悩み、不安な気持ちを1人で抱え込まずに、まずは主治医に相談してください。
相談される際は、主治医が適切に判断できるよう、「どの症状が」「いつから」「どの程度変化したか」など、なるべく具体的に伝えましょう。気付いたことはその都度メモしておくとよいと思います。

歩行時間を定期的に記録して、主治医に伝える

進行の指標としてわかりやすいのは、「歩行障害」です。私は診察の際に、「駅から病院まで徒歩で何分かかりましたか?」「いつもよりも疲れていませんか?」などとお聴きし、前回の診察時と比べて時間がかかっていないか、疲れやすくなっていないかなどを、過去のカルテと照合しながら確認しています。
ご自身でも普段の生活の中で、例えば「自宅から駅まで」「駅から会社まで」「自宅から近くのスーパーまで」徒歩で何分かかったかを記録しておくと、ご自身の「隠れた進行」に気付きやすく、医師にとっても重要な情報になります。
また、歩行時にふらつきがあると、バランスが崩れるのを防ぐために歩幅が広くなるので、「歩幅」の変化も進行を疑う要素の1つとなります。

他にも、「頻尿」「残尿感」「尿が出にくい」「トイレに間に合わない」などの排尿障害や性機能障害の変化も、進行の指標となる可能性があります。これらは主治医に伝えにくい症状ではありますが、もし症状の変化に気付いたら主治医に伝えてみましょう。「進行」を判断する一助となる可能性があります。

主治医が「進行している」と判断した場合は、治療の変更を提案されるかもしれません。是非、主治医とよく話し合ってみてください。

以前よりも多発性硬化症(MS)の症状が「進行」しているように感じる場合、どうすればよいでしょうか?

【回答】慶應義塾大学 医学部 神経内科 教授 中原 仁 先生

  1. 日本神経学会 監修『多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023』医学書院 p20-21, 24 2023年

聞きたいことを専門家に聞いてみよう。そのための準備をしよう。