さまざまな患者さんの 話を聞いてみよう
-多発性硬化症(MS)と診断されたあなたへ-
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関東地方在住のAさん(30代)は10年前、左眼の痛みで眼科を受診し、紹介された大学病院で
多発性硬化症(MS)と診断されました。
再発寛解型のMSで、脳神経内科で治療を受け、寛解を維持しています。
子どもにも恵まれ、MSという病気を抱えながらもフルタイムで仕事を続け、
2人のお子さんの育児に忙しい毎日です。
「病気は日常の1つ」というAさんにそれまでの思いを語っていただきました。
Aさん(30代) 関東地方
〜同じ病気を抱える方にメッセージをお願いします〜
治療法は進歩していますので、MSをめぐる状況は将来よい方向に向かっていくと思います。MSについて信頼できるソースから正しい情報を得て、わからないことは先生に尋ねるとよいと思います。セカンドオピニオンを受けることも選択肢の1つです。
自分だけが不幸だと思わず、MSだからと考え過ぎず、「みんなそれぞれ、いろいろなことを抱えて生きているよね」といった感じで、ご自身の好きなことに取り組むのがよいと思います。私自身も、よりよい人生を生きることを目標にしたいと思います。
左眼を動かす時に痛みがありました。それまで経験したことがない症状だったので気になっていましたが、それが2週間ほど続きました。初めての経験でしたので、何かおかしいという思いを抱いていました。
眼科で診てもらうと、「眼には異常がなく、脳神経の病気かもしれない」と言われ、大学病院の神経眼科の専門医に紹介状を書いていただき、受診しました。見え方などを調べる検査を行った上で、同じ病院の脳神経内科でMSと診断されました。最終的な診断がつくまで、1カ月前後だったと思います。
眼科の診療所から大学病院の神経眼科に紹介された時、「私の症状は神経眼科に関係ないのでは」と疑問に思いました。実際に大学病院を受診した頃には眼の症状は治まっていたこともあり、本当に受診してよいのかと思っていたほどです。それだけに、病名を知った時は驚きましたし、ショックでもありました。
当時は社会人生活2年目で、これから仕事でいろいろやりたいという気概に溢れていた時期でしたので、このまま症状が悪化したら仕事が続けられなくなる、何もできなくなるという心配もあり、落ち込みました。
検査や初回治療で入院中、気分が沈んだり、無理に自分を励ましたりする中で、「ハンディを背負うことになるかもしれないが、これは病気に勝つとか負けるとかいうことではない」という結論に至りました。
今は寛解期にあるため、治療によりMSの症状が抑えられており日常生活に支障はありません。
これまでできていたのに、できなくなることが出てくるかもしれませんが、その時までやりたいことやできることをして、自然に生きていこうと考えています。
MSになって困ることは2つあると思っています。1つは、現時点では完治する治療法がないこと、もう1つは脳神経の病気なので、病気の進行に伴い眼の症状や排泄障害などさまざまな症状が生じ、しかもそれらの症状がいつ現れるか予測できないことです。
入院中に考えたことですが、「症状が出たから負け」とか「再発したら負け」ではないということです。今起きていないにもかかわらず、将来起こり得る可能性があることを恐れ、「できなくなるかもしれないから、新たな仕事に手を挙げるのをやめよう」「結婚しない方がいい」など、やりたいことに挑戦しないことが「負け」なのだと思います。
一般的に、年齢が上がるに伴い妊娠しづらくなると言われています。働く女性として、いつ子どもを産むかは悩みどころだと思います。いつ子どもを産んだとしても、仕事との調整は大変ですし、育児の大変さはMSの人に限らない共通の悩みだと思います。
ただ、MSの人は病気が落ち着いているかどうかも考慮する必要があるのではないかと思います。「あの時産んでおけばよかった」と後悔しないように…。
私の場合は、子どもが欲しいという気持ちがあって、寛解を維持している時期に妊娠・出産を計画したいと考えていました。主治医に「そろそろ妊娠・出産を考えています」と伝えたところ、先生は「寛解しているから大丈夫でしょう」とおっしゃってくださいました。
妊娠・出産時には、脳神経内科の先生と産科の先生が連携し、協力してくれました。2人目の出産時も1人目の経験があったので、それほど大きな心配をせず妊娠・出産に臨めたと思います。
妊娠・出産を希望する場合は、妊娠中、産前・産後、授乳中で、MSの治療に関して注意が必要なこともあると思いますので、MSの主治医や産科の先生とよく相談した方がよいと思います。
夫とはMS発症前からの付き合いです。眼の痛みについて当時から話していたので、MSと診断された時は、「原因がわかってよかったね」という感じでしたね。過剰に反応するのではなく、それまでと変わらず接してくれたので、それが救いでした。
夫とはMSと診断がついた後に結婚しました。
過剰に心配されない方が気が楽なので、病気の愚痴などは話す相手を限定しています。ただ、病気のことを話していないからその人は友だちではない、ということではありません。勤務管理上の必要事項として、職場の上司には病気のことや再発の可能性、その際に急に入院するかもしれないといったことを伝えています。
子どもを習い事に連れていったり、子どもが楽しめる公園やテーマパークなどに車で出かけたりします。溜まっていた家事を片づけたり、料理を作り置きしたりしているとすぐに時間が過ぎていきます。夜は子どもを寝かしつけつつ、自分も眠ってしまうこともしばしばです。
好きなアーティストのライブに行くこともあります。これは病気だろうと、結婚していようと変わりません(笑)。