さまざまな患者さんの 話を聞いてみよう
-多発性硬化症(MS)と診断されたあなたへ-
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埼玉県在住の鈴木清子さん(57)は、6年前に眼の症状で眼科を受診し、その後、大学病院で
多発性硬化症(MS)と診断されました。
専門医のもとで治療を続け、病気と向き合いながら、事務の仕事も続けています。
「無理をしないようにしています」と言う鈴木さんに、MSとの歩みや日々の過ごし方を伺いました。
鈴木清子 さん(57歳) 埼玉県
~同じ病気を抱える方にメッセージをお願いします~
今は根本的な治療法がない病気ですが、医療は進歩しているので、前向きに生活してほしいです。
40歳の頃、階段を降りるのがつらくなってきました。手すりにつかまって、1段ずつでないと降りられないんです。「何でだろう?」と思いましたが、もともと運動神経に自信がなく、家族や友だちからもそのせいではないかと言われていたので、「もっと運動をしなければ」と思っていました。
受診のきっかけは51歳の時、仕事中にパソコンの文字が二重に見えたことです。すぐに眼科に行き、大学病院を紹介されました。「眼の病気ではなく、神経の病気が疑われます」とのことで、結局1カ月入院し、さまざまな検査を受けました。
結果は「脳の画像に影が、1個2個ではなく、たくさん見えます。昔からあったようです。多発性硬化症が疑われます」というお話でした。
「脳に影がある」「神経が攻撃される」という説明が眼の症状とはつながらず、初めて聞く長い病名も知りませんでした。これからどうやって生活すればいいのか、本当に混乱しました。
インターネットで調べてみると、症状が少しずつ出てくる、と書いてありました。階段を降りるのがつらくなってきた40代で発症していたのかもしれません。今も、階段を使う時はまず手すりの位置を確認し、何かあればすぐつかめるようにしています
MSとわかった時は落ち込みましたが、信頼できる先生の診察を受け、少しずつ前向きになりました。「守ってくれる人がいるのだから、私が落ち込んではだめ。先生や、治療法を研究する人のためにも頑張ろう。同じ人生なら、前向きに生きていこう」と。
それからは、自分にとって楽しいことを見つけようと試行錯誤しました。
片付けが趣味で、休みの日もマイペースでやっています。イライラすることがあっても、片付けで解消します。家族の分も片付けてしまうこともありますが(笑)。
それから、私はグアムが大好きです。行きたいと思って先生に相談したところ、否定されることはなく、「(旅先では)涼しい所で過ごしてください」などとアドバイスを受けました。好きなことをあきらめなくてよいとわかると、ここでも気持ちが前向きになりました。他にも困ったこと、心配なことは先生に相談し、無理をせずに生活しています。
もう20年以上、派遣で一般事務をしています。平日のフルタイム勤務です。デスクワークのため座って無理なく働けるので、MSになってからも辞めようとは思いませんでした。医療費のこともありますし、仕事をしている時は病気のことを考えなくてよいという意味もありました。
通勤は電車を利用して都内の派遣先まで1時間。「足に負担をかけないほうがよい」と先生に言われているので、電車でもできるだけ座るようにしています。
混雑を避けるため4時半に起床し、確実に座れる5時半頃の電車に乗ります。
出勤前に近くのお店に入って、朝ご飯をのんびり食べるのが日課です。免疫力が低下しないよう食事のバランスには気を付けており、納豆、みそ汁などがセットでつく和定食が中心です。
仕事帰りに地元のジムに行き、足の筋力を鍛え、体力をつけるようにしています。「走るよりも、座ってできる運動にしましょう」との先生からのアドバイスで、エアロバイクがメインです。腕の筋肉を鍛えるマシンと合わせて30分くらいですが、集中しているとストレス発散にもなります。
今は、コンビニエンスストアのようにいつでも利用でき、会費も手ごろなジムがあります。着替えなくてもトレーニングを始められ、着替えや運動靴を持ち歩かずに済むのは私にとって大きなメリットです
8時頃に起きて朝食を作り、そのあと掃除、洗濯をしてのんびり過ごします。都内に住む母に電話をして、最近の出来事を話したり、実家に帰る時は、父の写真を見たり生前の思い出話などをします。民放公式テレビ配信サービスで番組を見て、「日常とは異なる世界に入る」のも好きです。
「医療は進歩しているから、病気と前向きに、無理しないで長く付き合っていけばいいじゃないか」という父の言葉です。
電車で私のヘルプマークを見た高校生が席を譲ってくれたことが何回かあり、助かりました。ヘルプマークへの理解が広がるとありがたいです。座れなくて吊り革につかまる時、私の身長では(伸ばした)腕に余裕がないので、できれば吊り革をあと5cm長くしてもらえたらと思います。
父は大手旅行会社でツアー写真の講師をしていました。忙しくてなかなか時間がなかったのですが、退職後は一緒に出かけて、写真の撮り方を教えてくれました。父から譲り受けたカメラを最近いじり始めたので、「東北三大祭り」を撮りに行きたいですね