眼の状態や見え方に応じて、経過観察または治療の処置が行われます。
視力が低下していない場合
視力の低下や見え方に異常がない場合は、経過観察します。経過観察中に、視力低下や見え方の異常を感じた場合は、速やかに受診してください。
視力が低下した場合
視力が低下した場合は、黄斑浮腫を改善する治療を実施します。治療法は主に次の4種類から、眼の状態に適したものが選ばれます。
「VEGF阻害剤」による治療
静脈からの血液や水分の漏れを抑制する薬を眼内に注射する治療法です。
体の中には、新生血管の成長を活性化させるVEGF(VEGF:Vascular Endothelial Growth Factor、血管内皮増殖因子(けっかんないひぞうしょくいんし))という物質があります。
このVEGFは、静脈内に閉塞が起きたときにつくられ、静脈から網膜へ水分を出そうとする強い働きをもつ物質です。
VEGF阻害剤による治療は、VEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより、黄斑浮腫を抑制する治療法です。
「レーザー光凝固」による治療
網膜を焼き固めて、水分を溜めないようにする治療法です。
黄斑の中心窩以外の網膜を、レーザー光で焼き固める治療法です。
焼き固めた網膜では、浮腫や新生血管が生じなくなりますが、凝固した部分の網膜や周囲の正常な組織にもダメージを与える問題があります。
新生血管が生じそうな部分に、予防的に実施することもあります。
■ 汎網膜光凝固(はんもうまくひかりぎょうこ)
黄斑部以外、ほぼ網膜の全体にレーザー光を当てる治療です。この治療により、新生血管が生じてくることを予防します。
■ 格子状光凝固(こうしじょうひかりぎょうこ)
網膜の浮腫を生じている部分にレーザー光を当てる治療です。
■ 局所光凝固(きょくしょひかりぎょうこ)
網膜の浮腫が強い部分や新生血管からの出血がある部分などに、選択的にレーザー光を当てる治療です。
「ステロイド薬」による治療
静脈からの血液や水分の漏れを抑制する薬を注射する治療法です。
炎症を抑えたり、血管から水分が漏れ出てきやすい状態を改善する薬を注射することで、黄斑浮腫の抑制を図ることがあります。
新生血管の予防処置をする場合
眼の状態によって「レーザー光凝固術」で網膜を焼き固め、新生血管が生じないようにします。