広い視野や奥行を知覚する両眼視
ヒトの眼は2つあり、それぞれに異なる視野を持っています(具体的には鼻側60度、耳側100度程度あります)。両眼で異なる視野を持つとはいえ、私たちが眼にしている多くの部分は、それぞれの視野が重なった領域です(前方約120度分)(下図)。
これは、「両眼視」と呼ばれるヒトの眼の優れた機能で、2つの眼で見ることによって、ヒトは広い視野を得たり、奥行きを知覚したりしています。
眼の病気には気がつきにくい
ところが、眼の病気の発見に限ってみると、この両眼視の機能が不利に働く場合があります。
たとえば、もしも右眼が悪くなっていても、ある程度までは左眼が右眼の視野や視力を補います。この場合、普段の生活では右眼に生じている初期症状には気づかないまま過ごしてしまうことがあります。
ある程度病気が進行してくると、明らかに症状を自覚できるようになりますが、病気が初期のうちは、奥行きがうまく認識できずに「針に糸を通したり、包丁を扱ったりすることがやりにくくなった」と感じていても、その根本的な原因が眼の症状にあると気付かない場合が多々あります。
視力や見え方のチェックは、必ず片眼ずつ
網膜静脈閉塞症は、治療によって症状が落ち着いた後も、再び網膜がむくんだり、出血したり、発症の時期をずらしてもう片方の眼に起きる可能性がある病気です。
ですから、症状の進行や再発にいち早く気づくには、必ず「片眼」ずつ、視力の低下や見え方の異常がないかチェックすることが重要になります。
片眼ずつのチェックは、ご自宅でできる自己チェック方法を紹介しているページがありますので、ぜひ活用してみてください。「自己チェック」のページを見る
また、自己チェックで変化や異常がないと感じても、病院での検査結果には進行や再発の徴候が現れることがありますので、定期的に受診することも大切です。