よく見える眼の中心部が障害を受けると、視力は著しく低下し、ものが見えにくくなります。しかし、よく見えていないことを気づくには、片眼ずつ確認してみる必要があります。
桑園むねやす眼科 竹田 宗泰 先生
人間の眼はもともと、視野の真ん中だけがよく見えます。
中心部が見えにくくなる、ゆがんで見えるなどが加齢黄斑変性の代表的な自覚症状とされていますが、 実際に患者さんの訴えで最も多いのは「見えにくい」ということです。
そもそも人間の眼には、真ん中だけが鮮明で周囲はぼやけて見えるという特徴があります。 たとえば老眼鏡をかけて目の前にかざした指の指紋ははっきり見えますが、少しずらしただけで、もう見えません。(図1)
よく見える中心部が障害を受けると視力ががっくりと低下します。
字を読むときも、自然と目で字を追っているから読めるわけで、視線をじっと動かさずに新聞を読んだりはできないわけです。 非常によく見えている中心部が障害を受けてしまうと、視力ががっくりと落ちてしまいます。
また、ゆがんで見えると同時に物が小さく見える場合があります。 これは新生血管からの漏出などの結果、網膜が腫れることで起こると考えられています。(図2)
視力の低下は片眼を閉じて見ないとなかなか気づきません。
視力低下というのは中心が見えないから起こるわけですが、中心が見えていないことは、 片眼を閉じてアムスラーチャート(注)などで確認してみないと気づきません。ですから、いち早く症状に気づくためには、 たとえば月に2度程度、アムスラーチャートを使って片眼ずつ確認することをおすすめします。(図3)
注:アムスラーチャートとは、見え方の異常を発見するために用いる、格子状の表です。
片眼ずつ確認することが、症状の早期発見につながります。
とくに初期の症状を発見するのに有効なので、症状が出ていないほうの眼も注意して確認してください。 アムスラーチャートは眼科医院でもらえますが、手元にない場合は、障子の桟でも何でもかまいません。格子状のものを見ると、 ゆがみを発見するのに有効です。必ず片眼ずつ見ることが非常に重要です。
桑園むねやす眼科 竹田 宗泰 先生
1969年 札幌医科大学 卒業
1980年 札幌医科大学 眼科講師
1987年 札幌医科大学 助教授
1992年 市立札幌病院 眼科部長
2010年 桑園むねやす眼科 開院