加齢黄斑変性の症状を発見するのに便利な、アムスラーチャート(格子状の表)と呼ばれるチェックシートがあります。 アムスラーチャートでは、約30㎝離れた距離から、線がゆがんで見えたり、中心が暗く感じたりしないかを片眼ずつ確認します。
加齢黄斑変性の初期症状では、ものがゆがんで見えます。アムスラーチャートは格子状になっているので、加齢黄斑変性の症状のチェックに便利ですが、その他日常身の回りにあるまっすぐなものでも代用できます。 片眼ずつ、直線がゆがんで見えないかをチェックすることが大切です。
病名にもあるように加齢が一番の原因で、日本では50歳以上の方のうち約70万人[1]が、この病気のおそれがあるといわれていますが、早い方では40歳代でも発症します。日本人では男性に多く、また男女とも喫煙歴のある方が特になりやすい病気です。
詳しい原因はわかっていませんが、滲出型では網膜のすぐ外側にある脈絡膜(みゃくらくまく。網膜に栄養を送っている)から良くない血管(脈絡膜新生血管と言います)が伸びることが、この病気の始まりです。脈絡膜新生血管はもろいため、破れて出血したり、血液中の成分が漏れ出たりして、その水分が組織内に溜まります。その結果、網膜を押し上げるため黄斑が腫れて、見え方に異常が現れます。
滲出型加齢黄斑変性(しんしゅつがたかれいおうはんへんせい)の治療には、下記のような様々な治療法があります。
- VEGF阻害剤療法(VEGFそがいざいりょうほう)
- 光線力学的療法(こうせんりきがくてきりょうほう)(PDT:photodynamic therapy)
- レーザー光凝固術(ひかりぎょうこじゅつ)
- サプリメント(加齢黄斑変性の進行予防に使用されることもあります)
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加齢黄斑変性の治療
現在最も多く行われている治療は、脈絡膜新生血管を成長・促進させる体内物質(VEGF:血管内皮増殖因子)のはたらきを抑え、脈絡膜新生血管の発生ならびに伸展を抑え、消退させる薬剤を眼内に注射する「VEGF阻害剤療法」です。
病気の進行度や重症度、病型によっては、光に反応する薬剤を腕の静脈から注射し、熱を発生させないレーザーを病変部に照射する「光線力学的療法」が選択されることも少なくありません。
治療法について詳しく知りたい方は、眼科医におたずねください。
この病気は進行性の病気です。放っておくと視力が低下し、「社会的失明」と呼ばれる矯正視力0.1※以下の状態に進行することがあります。
加齢黄斑変性は多くの場合で進行が早いので、症状に気づいたらすぐにお近くの眼科を受診しましょう。
※矯正視力とは、眼鏡やコンタクトレンズで矯正して出る最大の視力のこと。
眼の状態を完全に元に戻す治療法は、現在ありません。治療はいずれも病気の進行を遅らせ、低下した視力を維持もしくは回復させることが目標となります。 加齢黄斑変性は放っておくと、症状がどんどん進行していきます。できるだけ良い眼の状態を維持するために、早期発見、早期治療が非常に大切です
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観察研究(コホート研究):久山町スタディ.あたらしい眼科26(1):25,2009