監修 : 東京女子医科大学 眼科学講座教授・基幹分野長 飯田 知弘 先生
「たまる水」とは
滲出型加齢黄斑変性における「たまる水」とは、加齢で新しく生えてくるもろい血管(新生血管)からの出血や滲出液が黄斑にたまってしまうことを指します。
この「たまる水」により、滲出型加齢黄斑変性では視界がゆがんだり、真ん中が見えなくなったりしてしまいます。
治療では、「たまる水」を作ってしまう新生血管をおさえこみ、「たまる水」を減らした状態を長く保つことが、将来的な視機能の維持にとても大切になります。
監修 : 東京女子医科大学 眼科学講座教授・基幹分野長 飯田 知弘 先生
治療における「たまる水」の重要性
滲出型加齢黄斑変性では、「たまる水」を作ってしまう新生血管を減らす治療を行います。「たまる水」を減らした状態を長く保つことがポイントになります。代表的な治療法をご紹介いたします。
1.抗VEGF薬療法
薬で新生血管の発育を抑えます。
2.光線力学的療法(PDT)による治療
注射剤とレーザーで新生血管だけを壊す治療です。
3.レーザー光凝固術による治療
レーザーで新生血管を焼き固めます。
「たまる水」が抑えられているかどうかで病状や治療の方針が判断されます。なお、治療には良いところも悪いところもあります。眼科医とご相談ください。
「たまる水」を検査で見る
「たまる水」の状態を確認するための検査が、OCT検査(光干渉断層計検査)です。網膜や黄斑の様子を撮影します。「たまる水」がある状態、ない状態のOCT検査写真を見比べてみましょう。
以下は、「たまる水」がある状態、ない状態のOCT検査写真です。OCT検査の結果を診察の時に画像などでみせてもらえると、眼の状態がわかります。治療への手応え、納得感を持って前向きに続けていくためにも、「たまる水」について眼科医と相談してみましょう。
眼底検査や蛍光眼底造影検査なども、新生血管をみるために行われることもあります。
「たまる水」を確認するタイミングと聞き方
眼科医に対して、聞きたいことが聞けなかった経験がありませんか?「たまる水」について聞こうと思っても、そのタイミングと聞き方は難しいものです。
眼科医が質問に答えやすいタイミングは、検査結果を患者さんやご家族に一通り説明した後です。検査の結果説明を受けた後、もし「たまる水」について話がなかった/聞き逃したら、そこで一つ二つ質問できるとスムーズです。
こんな風に聞いてみましょう
上の聞き方の例を参考に、ご自身でアレンジして先生に尋ねてみましょう。
聞くタイミングを逃した場合、診察の最後などに聞いてみても大丈夫です。
監修 : 東京女子医科大学 眼科学講座教授・基幹分野長 飯田 知弘 先生
「たまる水」メモ
いざ診察室で「相談内容を忘れた」「なんと相談すれば良いかわからない」とならないように、事前に相談内容を確認できるメモをご用意いたしました。下のボタンからダウンロードしてPCやスマホに画像保存できます。診察前の待合室などで確認しましょう。また、「たまる水」が検査できる機器「OCT」はすべての眼科にはご用意がありません。眼科専門医を受診するようにしましょう。
監修 : 東京女子医科大学 眼科学講座教授・基幹分野長 飯田 知弘 先生
滲出型加齢黄斑変性で気をつけるべき4つの「た」
「たべもの」「たばこ」「たいよう」「たまる水」この4つのことを指します。「たまる水」を忘れないためにも普段から覚えておくようにしましょう。
たべもの
抗酸化ビタミン、ミネラルを含む食品や、緑黄色野菜をバランスよく食べましょう。
たばこ
網膜の細胞に悪影響を及ぼしてしまいます。
喫煙は禁物です。
たいよう
日光を避けるために帽子やサングラスを着用しましょう。
たまる水
滲出型加齢黄斑変性の治療では、黄斑の「たまる水」をなくしていくことが大切です。「たまる水」がない、もしくは少ない状態が続けば、良い状態を保っていると考えてよいでしょう。治療に手ごたえを感じるためにも、「たまる水」について眼科のかかりつけ医に相談しましょう。
監修 : 東京女子医科大学 眼科学講座教授・基幹分野長 飯田 知弘 先生