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強度近視(きょうどきんし)の情報サイト

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Q. いわゆる「近視」と「強度近視」、「病的近視」はどう違うのですか?

私たちの眼は、近くを見るときは水晶体(レンズに該当する部分)がふくらみ、遠くを見るときは薄くなり、入ってきた光の焦点を網膜に合わせています。

「近視」は、雑誌やコンピューターゲームなどで長い時間近くを見続けることにより、水晶体がふくらんだままで固まってしまった状態です。こうなると、遠くを見たときに焦点が網膜に合わずぼやけて見えると言われてきましたが、現在では多かれ少なかれ眼軸(角膜の頂点から中心窩までの長さ)が伸びていることが分かっています。

「強度近視」は、特に眼軸の延長の程度が強く、入ってきた光の焦点が網膜に合わず、ぼやけてみる状態です。眼球が変形する原因は、環境因子(注)と遺伝因子が関係していると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。

「病的近視」は、強度近視により眼底に病的な変化が起こった状態のことを言います。

関連リンク

(注) 近くを見る作業が長いと近視を促進する、屋外活動の時間が長いほど近視になりにくい、等の報告がある

Q. 病的近視の発症を予測することはできますか?

眼が前後に伸びて変形する「強度近視」の方は、時間の経過とともに眼底に負荷がかかるため眼底に様々な異常を来たし、いずれ病的近視を発症する可能性が高いと言えます。

「強度近視の眼底に異常が生じる「病的近視」の発症初期は、必ずしも自覚症状を伴うとは限らないため、強度近視の方は定期的に眼科で検査を受けることをお勧めします。

Q.病的近視は、どのような人に多いのですか?
年齢によって患者数は違うのでしょうか?

福岡県久山町(注)で実施された、病的近視による眼底の変化(近視性網膜症)の有病率に関する調査では、性別の有病率は男性で1.2%、女性で2.2%と女性に多いという結果でした。また、年齢別の有病率は40歳~49歳が0.9%、50歳~59歳が0.7%、60歳~69歳が1.3%、70歳以上では3.4%(久山町研究 2005年)と、年齢が高くなるにしたがって発症頻度が高いことが報告されています。

(注) 久山町は、住民が全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布を持っている平均的な日本人集団であることから、日本人の健康状態の実態解明を目的とした様々な調査が行われている

Q. 病的近視になる原因はわかっているのですか?

病的近視は、眼球が前後に伸びて変形する「強度近視」の状態が続くことで眼底に病的な変化が起こる状態です。眼球が変形する原因は、環境因子(注)と遺伝因子が関係していると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。

(注) 近くを見る作業が長いと近視を促進する、屋外活動の時間が長いほど近視になりにくい、等の報告がある

 

Q. 病的近視は、レーシックで治療はできないのですか?

レーシックは、眼の表面にある角膜を薄くして、眼に入る光の屈折を弱くすることで焦点を網膜に合わせやすくする手術です。

強度近視の場合、焦点を網膜に合わせるためには角膜を非常に薄くする必要があり、レーシックで治療することは現実的に難しいことが多いです。

レーシックの実施を検討する際は、強度近視治療の主治医の先生とよく相談して指示に従ってください。

Q. 病的近視には、どのような治療法がありますか?

病的近視の根治療法(眼球の変形を治す方法)は現在のところありませんが、病的近視で起こる眼底の変化に対してはいくつかの治療法があり、視覚の維持、もしくは改善を目指すことができます。

病的近視の方の眼底に起こる変化として、眼球の変形により脈絡膜(注)が引き伸ばされて、そこに新たな血管(新生血管)が生えることがあります。この血管はもろいため、水分や血液が網膜内へ漏れ出ることでむくみ(網膜浮腫)をきたしやすく、視覚障害や視力低下の原因になります。
この新生血管による網膜浮腫は、VEGF阻害剤という薬で抑える治療が一般的に行われます。

また、眼球の変形により引き伸ばされた眼底の一部が伸びきれなくて、網膜がはがれたり孔があいたり網膜剥離が起こった場合は、硝子体手術が行われます。

治療法について詳しく知りたい方は、眼科医におたずねください。

関連リンク

(注) 脈絡膜は眼球を包んでいる「網膜」の外側にある膜で、網膜に栄養を届ける役割を担う

Q. 病的近視による新生血管に対する治療はどのくらいの期間と考えればいいのでしょうか?

治療法によって経過観察・治療実施のタイミングが異なりますので、主治医の先生とよく相談して指示に従ってください。

新生血管による網膜の症状が改善しても、強度近視の場合はその後ほかの症状があらわれる可能性があるため、定期的な受診を続けてください。

暮らし・将来について

Q. 強度近視の予防方法はあるのでしょうか?

強度近視の予防方法として、その効果が明らかにされているものはありません。

強度近視でみられる眼が前後に伸びる眼球の変化は、遺伝因子と環境因子の影響を受けると考えられています。

環境因子として、多焦点眼鏡(遠近両用の眼鏡)の使用が近視の進行を多少抑制する可能性があることなどが報告されています。

また、学童期に近くのものを見続ける作業は近視を進行させ、屋外で過ごす時間が長いほど近視になりにくいことが分かっています。

Q. 強度近視は遺伝するのでしょうか?

強度近視は、親子や双子の間での発症の一致率から遺伝性があると考えられていますが、現在見つかっている関連遺伝子ではすべての近視を説明できず、詳しいことはわかっていません。

今後さらに研究が進めば、遺伝子のタイプによって強度近視になる可能性を推測した上で、よりきめ細かな治療が行えるようになる可能性があります。