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SMA(脊髄性筋萎縮症)の情報サイト

監修:
東京女子医科大学 ゲノム診療科 特任教授
齋藤加代子 先生

筋緊張低下について

乳幼児のからだがぐにゃぐにゃしていると感じたり、腕や足をつまむとやわらかい、といった場合、筋緊張低下かもしれません。
筋緊張とは、筋⾁を指でつまんだときの硬さ、関節をぶらぶら揺らしたときの振れ具合、関節の可動域などで評価される筋肉の状態を示します。
筋緊張低下の場合、筋肉の機能である筋収縮が認めにくく、触ったときにやわらかく、そのやわらかさはマシュマロのようであると表現されます。
また、重力に抵抗して動かすことができないように感じることがあります。たとえば、あおむけで寝かせると“カエルの足”のように足がベタっと床についている、寝ている姿勢から引き起こすと、頭がうしろに垂れ下がったままである、といった症状は筋緊張低下の特徴です。

日本小児神経学会(https://www.childneuro.jp/about/6438/)
(2024年12月アクセス)
新島真一ほか編. こどもの神経疾患の診かた.齋藤加代子. 第8章 筋緊張異常・低下.医学書院. 2016. 46-52

筋緊張低下がみられるお子さんでは、以下のような症状がみられることがあります。

※ 下記の症状は診断に代わるものではありません。

以下の表の内容が見づらい場合は、画面を拡大(ピンチアウトなど)してご覧ください。

筋緊張低下がみられるお子さんでは、飲み込む力が弱い、首がすわりにくい、腕や手がだらんとしている、泣き声が弱い、足がベタっと床につく、咳が弱く肺炎になりやすい、からだの動きが少ない、筋肉がマシュマロのようにやわらかいといった症状がみられることがあります。

これらの症状がある場合は、筋緊張低下がみられる疾患の可能性もあります。その場合は早期発見・早期治療が重要ですので、小児神経科医を受診してください。

小児神経専門医

*脊髄性筋萎縮症(SMA)を相談できる病院はこちらで検索できます。

筋緊張低下がみられる疾患

筋緊張低下がみられる疾患は、以下のように分類されます。

以下の表の内容が見づらい場合は、画面を拡大(ピンチアウトなど)してご覧ください。

筋緊張低下がみられる疾患の分類

各疾患の概要は以下の通りです。

脊髄性筋萎縮症(SMA)

患者数は1人/10万人。
筋肉を動かす指令を出す運動神経細胞が変化したり、消失していくことで運動機能が障害される疾患。
発症年齢と重症度によってⅠ~Ⅳ型に分類され、重症であるⅠ型では支えなしで座ることができないなどの症状がみられる。

SMAの特徴:

  • 進行性の筋緊張低下、筋力低下や筋萎縮(筋肉がやせ細る)がみられる
  • 呼吸不全を合併することが多い
  • 症状は左右同じようにあらわれる
  • 上肢よりも下肢の症状が重い
  • 知能は正常であることが多い

SMAについて

シャルコー・マリー・トゥース病

患者数は1人/1万人。
主に遺伝⼦異常による末梢神経疾患の総称。
末梢神経障害に伴う足や下腿・手・前腕など、遠位部(からだの中心ではなく末梢)の筋力低下や感覚低下がみられる。

福山型筋ジストロフィー

発生率は1万人の出生に対し0.7~1.2人。
骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患。
骨格筋障害に伴う運動機能障害を主症状とし、顔面筋罹患が特徴的。

先天性ミオパチー

患者数は3.5~5人/10万人。
先天的な⾻格筋の構造異常により、新⽣児期あるいは乳児期から筋⼒低下がみられる疾患。
筋力低下以外にも呼吸障害、⼼合併症、関節拘縮、側弯、発育・発達の遅れなどがみられることもある。

糖原病Ⅱ型(ポンペ病)

患者数は1人/4万人。
古典的乳児発症型ポンぺ病は生後1ヵ月間に筋緊張低下、全身の筋力低下、心肥大、心筋症、哺乳困難、発育不良、呼吸困難などを来たす。酵素補充療法が有効である。

ミトコンドリア病

患者数は不明(診断を受けていない軽症者も多くいると予想され、患者数の把握が困難なため)。
全身の細胞内でエネルギーを産生するミトコンドリアの機能が低下し、それによってエネルギーを得られなくなった細胞が機能低下する疾患。
ミトコンドリアの機能低下が起こる細胞の場所によってあらわれる症状が異なる。

先天性筋強直性ジストロフィー

患者数は7人程度/10万人。
出生時より、呼吸障害を示すこともある。強い筋力低下と筋緊張低下を認める。重症例では呼吸の自立がなく、人工呼吸器が必要。嚥下障害があると、経管栄養が必要。筋力低下は全身性で顔の筋力も弱く、表情に乏しい。成長とともに次第に筋力を獲得することもある。知的障害を伴う。

急性脳症

ウイルスなどの病原体に感染した際、身体が病原体に対して反応を起こすことで、脳に急激なむくみが生じる。日本国内では年間400~700人程度が発症すると推定される。けいれんや意識障害を起こすことが多く、後遺症が残ってしまう可能性がある。特に乳幼児に多く、迅速に診断し、脳のむくみを取る治療を開始することが必要である。

先天性大脳白質形成不全症

患者数は0.8人/10万人。
脳の白質という部分の発達がうまくいかないことが原因で起こる疾患。
生後1年以内に発達の遅れと異常な目の揺れ(眼振)、四肢の突っ張り(痙性)などがみられる。

プラダー・ウィリ症候群

患者数は1人/1.5万人。
出生後から筋緊張の低下がみられるため、呼吸の障害や哺乳障害が引き起こされる。
運動発達は次第に改善するが、中程度の知的障害がみられる。

エーラス・ダンロス症候群

患者数は1人/5,000人。
皮膚が伸びやすく裂けやすい、関節が過剰に曲がり脱臼しやすいなどの症状を特徴とする遺伝性疾患。
6つの病型(古典型、関節型、血管型、後側彎型、多発関節弛緩型、皮膚弛緩型)とその他の病型に分類され、病型ごとにみられる症状が異なる。

※以上の疾患は国の指定難病です。
それぞれの疾患に関する詳細は「難病情報センター(TOPページ)」よりご確認ください。

脳性麻痺(失調型)

出生前後の脳病変により運動機能に障害が引き起こされる疾患。
失調型は脳性麻痺の中で5~10%にみられ、広い歩幅や何かをしようとしたときにふるえを示すことがある。

脳外傷

脳に対して外部から損傷が与えられて引き起こされる疾患。
損傷の部位や、範囲によって症状が異なるが、意識障害や運動麻痺などがみられる。

ダウン症候群

患者数は1人/700~1,000人。
21番の染色体が1本過剰になることにより引き起こされる疾患。
特有な顔つきと軽度の知的障害を認める。先天性心疾患の合併もある。モザイク型などで正常細胞が多いと軽症となる。

難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp/)(2020年3月アクセス)
齋藤加代子. 神経筋疾患. In: 内山聖ほか. 標準小児神経学. 医学書院.
齋藤加代子. 筋緊張異常・低下. In: 新島新一ほか編. こどもの神経疾患の診かた. 医学書院.

これらの症状がある場合は、筋緊張低下がみられる疾患の可能性もあります。その場合は早期発見・早期治療が重要ですので、小児神経科医を受診してください。

小児神経専門医

*脊髄性筋萎縮症(SMA)を相談できる病院はこちらで検索できます。