SMAは「発症する時期」、「最終的に到達できる最も高い運動機能」によって4つのタイプに分けられます。
SMAの4つのタイプ
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SMA未治療の自然経過では、病態進行のパターンとして、大きく以下の3種類に分かれます。
Ⅰ~Ⅳ型で発症パターンが異なり、それぞれ下記のパターンがよく見られます。
Ⅰ型SMA:①②、Ⅱ型、Ⅲ型SMA:②③、Ⅳ型SMA:③
※ 個人差がありこの限りではありません
病態進行のパターン(イメージ図)

Kaneko K. et al.: Brain Dev. 2017; 39(9): 763 より改変
Ⅰ型SMA
SMAの約50%を占めるⅠ型SMAは生後0~6ヵ月、多くは3ヵ月未満で発症します。
以下のような特徴的な症状がみられます。
リンクをクリックすると該当の説明ページへ遷移し、症状イメージをご覧いただけます。
- 筋緊張低下のため、体がやわらかく、ぐにゃぐにゃしているように感じる症状(フロッピーインファント※)がみられる
・あおむけで寝かせると“カエルの足”のように足がベタっと床についている(蛙足肢位)
・引き起こすと、頭がうしろに垂れ下がったままである(引き起こし反応)
・首に手がスカーフのように巻き付いてしまう(スカーフ徴候)
・上半身と下半身がぴったりついてしまうほど、からだがやわらかい(二つ折れ現象)
・あおむけに寝かせて、かかとを耳につけようとすると簡単にできてしまう(踵耳徴候)
・両脇に手を入れて持ち上げると、肩と腕が持ち上がりすべり落ちそうになる(弛緩肩)
・うつぶせの状態で抱き上げると、逆U字型にだらりとする(逆U字姿勢) - くびがすわる(頚定)、寝返りを打つなどの運動機能発達がみられない
- 泣き声が弱い
- 母乳やミルクを吸う力が弱い
- 息を吸うときに胸がくぼみ、息を吐くときにお腹がへこむ(シーソー呼吸)
- 舌に細かいふるえがみられる(舌の線維束性収縮)
- 血清クレアチンキナーゼ(CK)値が正常上限の10倍以下

Ⅱ型SMA
II型SMAは、生後7~18ヵ月で発症します。
患者さん一人ひとりで症状の程度は異なりますが、以下のような症状がみられます。
- 「ひとり座り」はできるが「ひとりで立つ」ことができない
- 手足の動きが少なく、力が弱い
- 食べ物や飲み物を飲み込む力が弱いこともある
- 手指、舌に細かなふるえがみられる
- 成長とともに、膝、股、肘、手首の関節の動きに制限がみられ、背骨の変形もみられる
- 座った姿勢で背中が丸い
- 呼吸不全を合併することもある

Ⅲ型SMA
Ⅲ型SMAは比較的軽症で、生後18ヵ月以降に発症しますが、発症年齢には個人差があります。
また、症状も患者さんによってさまざまですが、以下のような症状がみられます。
- 発症時期に個人差が大きい
- 「ひとり歩き」はできるが、次第に歩けなくなることがある
- 転びやすい
- 階段の上り下りができない、または手すりが必要となる
- 手指に細かなふるえがみられる
- 思春期前に歩けなくなった方は背骨の変形が生じやすい

Ⅳ型SMA
Ⅳ型SMAは20歳以上で発症し、小児期に発症するⅠ~Ⅲ型のSMAと比べて進行が非常にゆっくりです。
SMN1遺伝子に変化が認められる方は約1割であり、発症部位、経過もさまざまです。
以下のような症状がみられます。
- 両足の筋肉の力が弱まる
- 筋肉がやせ細ったり、筋肉のぴくつきがあらわれる
- 寝た状態から立ち上がるとき、手で支えないと立ち上がれない
- 階段の上り下りに手すりが必要となる
- 今まで手で持ちあげていたものを持ち上げられなくなる
- 症状の進行は小児型(Ⅰ~Ⅲ型)と比べるとゆっくりである
